藤北会「創業地訪問」
伊藤忠商事創業の地を訪ねて

このたび、旧豊郷小学校、近江商人博物館、そして伊藤忠兵衛記念館を視察し、
伊藤忠商事の創業地を訪ねる貴重な機会を藤北会でいただきました。
近江の地に息づく「商いの心」と、その精神を受け継ぐ企業文化に触れ、深い感銘を受けました。
旧豊郷小学校は「世間から得たお金は世間へ還元する」という理念のもとに建てられた美しい建築であり、今なお地域の人々に親しまれています。
教育の象徴として設けられた「ウサギと亀」の趣向にも、努力と継続の大切さが表現されていました。次世代を育てる意義を改めて感じ、自社の人材育成にも通じるものがあると実感しました。


近江商人博物館では、「三方よし(売手よし・買手よし・世間よし)」の精神が、単なる商売の心得ではなく、
社会の信頼を得るための根本的な姿勢であることを学びました。
特に印象的だったのは、創業者・伊藤忠兵衛の座右の銘が正式に「三方よし」と確認されたのが2016年と比較的最近である点です。
80年以上を経てなお、この理念が全グループに受け継がれていることに驚きと敬意を覚えました。




また、初代・伊藤忠兵衛夫人の八重さんが「先輩への敬意」と「後輩への愛情」を重んじた店員教育を徹底されたという逸話にも心を打たれました。
人を育て、支え合う文化があってこそ企業は発展し続ける、まさに「人的資本経営」の原点と感じました。
さらに記念館で聞いた「伊藤忠は伊藤家のものではない」という二代目の言葉には強い信念が込められていました。
会社は個人や一族のものではなく、社会・顧客・社員のために依存するという使命感こそが、
今日までの成長を支えているのだと感じます。
創業1932年以来、伊藤忠商事は「コンプライアンス」と「現場主義」を重んじ、
誠実で顧客目線の経営を貫いてきました。その姿勢は、私たちが日々実践すべき基本と重なります。
今回の視察を通じ、「商い」とは人と人との信頼の上に成り立つものであると改めて実感しました。


近江商人の精神を胸に、「正直・勤勉・共生」の心を持ち、現場主義を徹底しながら、全国の農業の未来に貢献し、持続可能な企業を目指してまいります。

