ビジネス時事通信Vol.23…【サラリーマン増税①】
サラリーマン増税①
皆様は給料からどのようにして所得税の支払額が計算されているかご存知でしょうか?
分かりやすく書くと、
所得税の支払額
その年の収入(A)ーその年の必要経費(B)=実質儲かった利益(C)
実質儲かった利益(C)×金額に応じて決められた所得税率=支払う税金(D)
このような式です。
基本的に収入(A)のところは個人事業主の場合は売上、会社員いわゆるサラリーマンの場合は給料になります。
必要経費(B)のところは個人事業主の場合は仕入と販管費ですがサラリーマンの場合はどうなるでしょうか?
サラリーマン増税はここの話から始まります。
給料の場合、必要経費の差し引かれる金額が法律で定められています。これは給与所得控除額といいますが、
給料の金額に応じて計算式が変わります。
計算の説明は省きますが仮に給与500万円で144万円の給与所得控除額です。割合で言うと28%ですね。
これが先進国で見ると控除割合が大きく、サラリーマンがサラリーマンとして働くために支出している必要経費は実際は3%程度と試算されています。
じゃあ3%くらいにしちゃおうかなと言っているのが今の増税案です。
500万円(A)から144万円(B)を引くと356万円(C)になります。(C)に所得税率を掛けて支払額(D)を決めていきます。
この式を見ていると(B)が大きくなれば(C)が小さくなり(D)も小さくなる。つまり給与所得控除が小さくなると支払税額は増えます。
ではどれくらい変わるのか?という話になりますが、
年収500万円だと支払税額は29万円増えます。つまり毎月手取りが2万円超減ります。
つまり給与を40万円以上増やさないと元の手取り額は維持できないことになります。
個人事業主であれば必要経費を増やして税額を調整する生活防衛策がありますが、
給与所得のサラリーマンには出来ない芸当になります。
日本は世界屈指の徴税大国ではあるのですが、
この不景気の中で過去最高の税収を記録しています。
集金に「社会保障のために増税を」と言っている一方で、出金時には議論すらありません。
増税の経緯を語る意味はありません。すでに私たちがどうやって生き残るかに集中しなければ守るものも守れないのです。
話を戻します。
給料を40万50万増やさなければ元の生活水準が守れないということが分かったので、
では企業は給料を上げればいいですねとなるでしょうか?大概の企業はどこからその金額を捻出するのでしょうか?出来ないと思います。
それは無条件に人件費が増えることを意味します。
この増税によって考えなければならないことは一人当たり給与を増やすために1人あたりの業務量を増やして、
且つ労働時間は増やさないように生産性高く取り組まなくてはなりません。
ヒトを雇うことのハードルがまた一つ上がります。同じお金をかけるなら全体業務が圧縮できるシステムを導入したほうがいいです。
システムは残業代も必要ないし24時間働けますからね。
モデルチェンジできなかった企業は闇雲に増えた業務量に社員が逃げ出し、
質の悪い安い人材に置き変わり地力を失ってモデルチェンジが不可能になり破綻します。
時事通信で継続して発信していますが、ジェットコースターのように人口が激減している世界のマネジメントは、
人が居なくても質を落とさず多くの業務をこなす仕組みが早急に求められます。
話が二転三転してしまいましたが、
黙っていれば数年後にはサラリーマンは多額の税金支払に追われ、生活水準を落とすレベルでの節約が求められます。
個人も企業も対策を今から立てて実施していかなければならないでしょう。